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 倒れていた…その表現が本当に正しいのかヘンリは迷った。女の子は、いや少女というべきだろうか。彼女の表情はとても穏やかで静かに眠っているようだ。ヘンリは、一瞬、彼女の顔に見とれてしまっていた。長いまつげ、小さめの輪郭、色白な肌で、ほのかに紅い頬、髪の色は桜色。まるで人形のようだった。
どのくらいたったかは分からないが、彼女に見とれていたヘンリはふと我に返った。そして、あわてた。
「どうしようか一体…。どうすればいいんだ?てかなんでこんなところに女の子がいるんだよ。…まさか、死んでなんかないよな?」
急に心配になってきた彼は、少女の口元へ自分の耳を近づけていって彼女の呼吸音を聞きとろうとする。と、彼女までわずか数セピトのところで、彼女は急に動き出した。
「ん…う~ん…」
驚いた少年は、後ろに飛び退き、彼女の様子をうかがう。すると少女は、身じろぎをすると、その大きな碧眼の瞳を開いた。
「………」
少年は声も出ない。少女は目をごしごしとこすり、まだ眠そうに垂れている瞼を瞬かせる。
少年は何もできず、ただ少女を見つめるだけである。と、彼女の瞳は少年を捕らえる。
「あなた…だれ?」
「えっ?」
いきなりの出来事でヘンリは声がうわずってしまった。
少女は、もう一度彼に問う。
「あなたはだれなの?」
「あっと、俺?」
思わず聞き返したヘンリに少女は小さくうなずく。
「俺は、ヘンリ・ポルテーノ、ヘンリって読んでくれて構わない。ところで君は?」
少女は、ゆっくりと答えた。
「私は、ライア・ペラチア・ド・ハプスブルクよ。」
ヘンリは、ひどく驚いた。驚いたなんてもんじゃない、なんでこんな少女がここにいるのかもわからなかった。
「ハプスブルクって、あのハプスブルク?」
恐る恐る、聞き返すヘンリに、ライアは答える。
  「ハプスブルクはこの辺ではあそこしかないでしょう。このプファルツ王国の貴族のハプスブルクしかいないでしょう?」
何を言うのかというような怪訝な顔で返されたが、ヘンリは、その緊張した顔を緩めない。
「なんで、こんなところにそのド・ハプスブルク家のお嬢様がいるんだよ?」
ヘンリが驚いている真髄の質問をすると、ライアは、急に黙ってしまった。
そして、少したってから、ヘンリに顔をそむけ小さな声で言った。
「道に…迷ってしまったの。」
なんとも呆気ない回答だった。
「はぁ?」
さすがのヘンリも呆れてしまい、こんな答えしか出なかった。
 

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ども、某工業高校に通う学生です。
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