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 『魔法の使える人』は、『魔法の使えない人』の憧れであり、今では、『魔法の使えない人』から『魔法の使える人』になろうとする研究まではじまっているが、その研究の成功例はいまだ聞いたことがない。
この二つの違い、実はとても厄介な問題にもなっている。それは、メイジがコモナーよりも力を持っているということだ。それは、政界をみるとわかりやすい、基本的に、高い位にはメイジがいる。もちろん、コモナーもその位に就くことは可能なので何人かは高い位を授かっている。しかし、同じ位の貴族でもやはり、コモナーは肩身の狭い思いをしなければならないというのが現実である。
さて、場所は先ほどの路地裏に戻って、ヘンリの目の前にはメイジ、しかもハプスブルク家の令嬢だという少女がいる。ふつうなら、ここで、ペコペコ頭を下げてしまうのだが、なぜだが、そんなに相手に敬意を示す必要性があるように彼は思わなかった。
「あのさあ、テレポートを失敗してここまで来たって言ってたけど、どこから来たの?」
ヘンリは、慎重に、できるだけライアの癪に触れないように問いかけた。が、彼女からあふれる怒りのオーラは、鎮まりかけていたのが再び大きくなったような気がした。と思ったら、しゅんとすぐにそのオーラは小さくなってほとんどなくなっていた。その代わりに彼女は、小さい声で、「そうよ、私なんてどうしようもないドジっ子なのよ。でも、時々ちゃんとできるんだから…」などとぶつぶつ呟いている。
「あ、あの~」
ヘンリは、そんな彼女を心配して、恐る恐る声を掛けたが、その瞬間、ライアはヘンリをキッと睨みつけて、
「なによ!」
怒鳴った。その時、うすうす感づいてはいたけれども、ヘンリは一つ確信した。
『こいつ、意地っ張りな奴だ』
確信はしたけれどどうすればいいのかわからないヘンリは、どうしようもなくただ茫然と突っ立っていた。
しばらくして、急にライアは立ち上がると、ヘンリの方を向かず、小さくこう言った。
「あんた、私の屋敷まで送って行きなさいよ…」
薄く頬を染めて、恥ずかしそうに言った彼女に、ヘンリは少し心臓がはねたような気がした。
まさか、そんなはずはない。そう、思いながらも一瞬でもそう思った自分が恥ずかしく、照れ隠しで、ぶっきらぼうに
「わかった、行くぞ」
というと、早足に屋敷に向かって進みだす。
「ちょっと、まちなさいよ!」
ライアは、怒ったように頬を膨らませて、その後をついて行く。大通りに出ると人並みにはぐれないように、ヘンリはライアの手首を握る。
すると、ライアは一瞬びっくりしたようだったが、彼の意図がわかったのか黙って彼について行った。
 

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自己紹介:
ども、某工業高校に通う学生です。
このブログでは小説とかいろいろなことをグダグダと書いて行こうと思います。よければコメントとかして下さい。
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