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設置日 2009/9/12(Sat)
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 どのくらいたったのだろうか、あれからだいぶ歩いた。しかし、太陽は少しも動いていない。周りの景色も、変わらずただ遠くに高い山。周辺は野原なだけだ。どこに向かっているのかさえも分からない。

 周りは静かだ、空では太陽が輝いているのに、小鳥のさえずり、獣の声ダケでなく風の音さえも聞こえない。

 一体ここはどこなのだろうか?僕?私?自分の存在さえも分からない。わかるのは生きていると言うことだけ。

 ずいぶん歩いた、だけど一向に景色は変わらない。その時、突如として闇はきた。

 あたりが一気に暗くなっていく。暗黒の世界が展開されて行く。このまま闇に飲まれるのかと思ったその時、空には丸く明るい月が上った。御丁寧に雲が薄くかかっている。それは神秘的でもあり、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。

 なんとなく、ただ漠然に一言つぶやいてみる。

「風よ吹け」

 すると、自分のそばを風が吹き抜けて行く。

「雲よ空を覆い尽くせよ」

 すると、空を黒く厚い雲が覆い尽くして行く。

「水よ大地を潤せ」

 すると、厚い雲から大粒の雨が降ってきた。

「月と太陽よ昼と夜を交互に繰り返せよ。」

 すると、この大地に昼と夜が一定周期で入れ替わるようになった。

「精霊たちよわれを神とせよ」

 すると、大地が一面淡いブルーの光におおわれ、自分は天へと登っていく。

「人よ生まれよ・・・」

 すると、そこに人が生まれた。

 

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 『魔法の使える人』は、『魔法の使えない人』の憧れであり、今では、『魔法の使えない人』から『魔法の使える人』になろうとする研究まではじまっているが、その研究の成功例はいまだ聞いたことがない。
この二つの違い、実はとても厄介な問題にもなっている。それは、メイジがコモナーよりも力を持っているということだ。それは、政界をみるとわかりやすい、基本的に、高い位にはメイジがいる。もちろん、コモナーもその位に就くことは可能なので何人かは高い位を授かっている。しかし、同じ位の貴族でもやはり、コモナーは肩身の狭い思いをしなければならないというのが現実である。
さて、場所は先ほどの路地裏に戻って、ヘンリの目の前にはメイジ、しかもハプスブルク家の令嬢だという少女がいる。ふつうなら、ここで、ペコペコ頭を下げてしまうのだが、なぜだが、そんなに相手に敬意を示す必要性があるように彼は思わなかった。
「あのさあ、テレポートを失敗してここまで来たって言ってたけど、どこから来たの?」
ヘンリは、慎重に、できるだけライアの癪に触れないように問いかけた。が、彼女からあふれる怒りのオーラは、鎮まりかけていたのが再び大きくなったような気がした。と思ったら、しゅんとすぐにそのオーラは小さくなってほとんどなくなっていた。その代わりに彼女は、小さい声で、「そうよ、私なんてどうしようもないドジっ子なのよ。でも、時々ちゃんとできるんだから…」などとぶつぶつ呟いている。
「あ、あの~」
ヘンリは、そんな彼女を心配して、恐る恐る声を掛けたが、その瞬間、ライアはヘンリをキッと睨みつけて、
「なによ!」
怒鳴った。その時、うすうす感づいてはいたけれども、ヘンリは一つ確信した。
『こいつ、意地っ張りな奴だ』
確信はしたけれどどうすればいいのかわからないヘンリは、どうしようもなくただ茫然と突っ立っていた。
しばらくして、急にライアは立ち上がると、ヘンリの方を向かず、小さくこう言った。
「あんた、私の屋敷まで送って行きなさいよ…」
薄く頬を染めて、恥ずかしそうに言った彼女に、ヘンリは少し心臓がはねたような気がした。
まさか、そんなはずはない。そう、思いながらも一瞬でもそう思った自分が恥ずかしく、照れ隠しで、ぶっきらぼうに
「わかった、行くぞ」
というと、早足に屋敷に向かって進みだす。
「ちょっと、まちなさいよ!」
ライアは、怒ったように頬を膨らませて、その後をついて行く。大通りに出ると人並みにはぐれないように、ヘンリはライアの手首を握る。
すると、ライアは一瞬びっくりしたようだったが、彼の意図がわかったのか黙って彼について行った。
 

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 このポイストには、おもに二種類の人がいる。それは、『魔法が使える人』と『魔法が使えない人』である。
比率は、圧倒的に『魔法の使えない人』の方が多い。また、ポイストでは、『魔法の使える人』を『メイジ』、『魔法の使えない人』を『コモナー』と呼んでいる。
『魔法の使える人』は、『魔法の使えない人』の憧れであり、今では、『魔法の使えない人』から『魔法の使える人』になろうとする研究まではじまっているが、その研究の成功例はいまだ聞いたことがない。
この二つの違い、実はとても厄介な問題にもなっている。それは、メイジがコモナーよりも力を持っているということだ。それは、政界をみるとわかりやすい、基本的に、高い位にはメイジがいる。もちろん、コモナーもその位に就くことは可能なので何人かは高い位を授かっている。しかし、同じ位の貴族でもやはり、コモナーは肩身の狭い思いをしなければならないというのが現実である。
さて、場所は先ほどの路地裏に戻って、ヘンリの目の前にはメイジ、しかもハプスブルク家の令嬢だという少女がいる。ふつうなら、ここで、ペコペコ頭を下げてしまうのだが、なぜだが、そんなに相手に敬意を示す必要性があるように彼は思わなかった。
「あのさあ、テレポートを失敗してここまで来たって言ってたけど、どこから来たの?」
ヘンリは、慎重に、できるだけライアの癪に触れないように問いかけた。が、彼女からあふれる怒りのオーラは、鎮まりかけていたのが再び大きくなったような気がした。と思ったら、しゅんとすぐにそのオーラは小さくなってほとんどなくなっていた。その代わりに彼女は、小さい声で、「そうよ、私なんてどうしようもないドジっ子なのよ。でも、時々ちゃんとできるんだから…」などとぶつぶつ呟いている。
「あ、あの~」
ヘンリは、そんな彼女を心配して、恐る恐る声を掛けたが、その瞬間、ライアはヘンリをキッと睨みつけて、
「なによ!」
怒鳴った。その時、うすうす感づいてはいたけれども、ヘンリは一つ確信した。
『こいつ、意地っ張りな奴だ』
確信はしたけれどどうすればいいのかわからないヘンリは、どうしようもなくただ茫然と突っ立っていた。
しばらくして、急にライアは立ち上がると、ヘンリの方を向かず、小さくこう言った。
「あんた、私の屋敷まで送って行きなさいよ…」
薄く頬を染めて、恥ずかしそうに言った彼女に、ヘンリは少し心臓がはねたような気がした。
 

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 自分の頭の中のCPUとハードディスクが高速回転している…その表現がぴったり当てはまるのが今のヘンリの脳内である。
今にもハードディスクのカタカタという駆動音が聞こえてきそうだった。彼は今、これまでの出来事を必死で整理しているところだ。

ハプスブルク、その名はこのプファルツ王国一番の公爵とも呼ばれている名家中の名家である。ハプスブルクの出る前、数世代前の国王の時までプファルツ王国の国力はこのポイスト大陸の中で最低ランクだったのが、ハプスブルクが、政界に上がった途端に国の経済は著しく発展し、国力もポイスト大陸の中ほかの国に並ぶまで上がってきた。

そんな、「プファルツの救世主」とまで呼ばれているハプスブルクのお嬢様である少女が目の前にいる。しかもここにいる理由が「道に迷った」そんなんじゃあ混乱してもおかしくはない。
と、ここまで考えていてもまだ整理できないヘンリの頭をライアが小突いた。それでヘンリはやっと我に返った、その彼に彼女は拗ねたように頬を膨らませる。
「何よ、悪かったわねえ名家の出身の私がこんなとこで道に迷っていたりだなんてして。」
「い、いや、急にハプスブルク家の人が目の前にいたから驚いただけだよ。」
急に、そんなことを言われたヘンリはあわてて答えるが、「ドジだなこの子は」と思っていたのは確かなので、目がどうしても泳いでしまう。
「そう、私のことを『こんなとこに迷うドジな子』だなんて思っていないのならどうしてそんなに目が泳いでいるのかしら…」
何だろうか、ヘンリはこの少女からジワジワと怒りに満ちたオーラが漏れ出してるように見える。
「い、いや、そのなんて言うかまあ…」
図星を突かれたことや、彼女から漏れ出すオーラのせいで冷たい脂汗をかいているいるヘンリは、答えるのにどうしても詰まってしまう。
そのせいか、ライアから出る怒りのオーラは今やものすごい大きさとなってヘンリを巻き込みそうである…というよりもうすでに巻き込んでいるようだ。その時ヘンリには悪魔が見えた。
「やっぱり、私のことを『仕方のないドジっ子』だと思ってるんでしょ!!」
「い、いや思ってない、というより、自分のことさらに悪く言ってない?」
どうも彼女に何を言っても聞かないらしい、彼の顔には汗がびっしりである。
そして、とうとう悪魔の怒りが爆発した。
「私だって、好きでこんなとこに来てんじゃないのよ!!別にちょっと魔法試してたらこんなとこまでテレポートしちゃっただけなんだから!!!」
「ああ、魔法絵を使ってたのね…って、魔法使えたの!?」
「そうだけど、なんか疑問な点でも?」
ヘンリの疑問点はますます増えるばかりだった。

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 倒れていた…その表現が本当に正しいのかヘンリは迷った。女の子は、いや少女というべきだろうか。彼女の表情はとても穏やかで静かに眠っているようだ。ヘンリは、一瞬、彼女の顔に見とれてしまっていた。長いまつげ、小さめの輪郭、色白な肌で、ほのかに紅い頬、髪の色は桜色。まるで人形のようだった。
どのくらいたったかは分からないが、彼女に見とれていたヘンリはふと我に返った。そして、あわてた。
「どうしようか一体…。どうすればいいんだ?てかなんでこんなところに女の子がいるんだよ。…まさか、死んでなんかないよな?」
急に心配になってきた彼は、少女の口元へ自分の耳を近づけていって彼女の呼吸音を聞きとろうとする。と、彼女までわずか数セピトのところで、彼女は急に動き出した。
「ん…う~ん…」
驚いた少年は、後ろに飛び退き、彼女の様子をうかがう。すると少女は、身じろぎをすると、その大きな碧眼の瞳を開いた。
「………」
少年は声も出ない。少女は目をごしごしとこすり、まだ眠そうに垂れている瞼を瞬かせる。
少年は何もできず、ただ少女を見つめるだけである。と、彼女の瞳は少年を捕らえる。
「あなた…だれ?」
「えっ?」
いきなりの出来事でヘンリは声がうわずってしまった。
少女は、もう一度彼に問う。
「あなたはだれなの?」
「あっと、俺?」
思わず聞き返したヘンリに少女は小さくうなずく。
「俺は、ヘンリ・ポルテーノ、ヘンリって読んでくれて構わない。ところで君は?」
少女は、ゆっくりと答えた。
「私は、ライア・ペラチア・ド・ハプスブルクよ。」
ヘンリは、ひどく驚いた。驚いたなんてもんじゃない、なんでこんな少女がここにいるのかもわからなかった。
「ハプスブルクって、あのハプスブルク?」
恐る恐る、聞き返すヘンリに、ライアは答える。
  「ハプスブルクはこの辺ではあそこしかないでしょう。このプファルツ王国の貴族のハプスブルクしかいないでしょう?」
何を言うのかというような怪訝な顔で返されたが、ヘンリは、その緊張した顔を緩めない。
「なんで、こんなところにそのド・ハプスブルク家のお嬢様がいるんだよ?」
ヘンリが驚いている真髄の質問をすると、ライアは、急に黙ってしまった。
そして、少したってから、ヘンリに顔をそむけ小さな声で言った。
「道に…迷ってしまったの。」
なんとも呆気ない回答だった。
「はぁ?」
さすがのヘンリも呆れてしまい、こんな答えしか出なかった。
 

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男性
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1993/05/28
職業:
高校生
趣味:
執筆、ゲーム、プログラミング
自己紹介:
ども、某工業高校に通う学生です。
このブログでは小説とかいろいろなことをグダグダと書いて行こうと思います。よければコメントとかして下さい。
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