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設置日 2009/9/12(Sat)
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 「ふう・・・」

 さっきエルフをライアの屋敷に運び込んだ編リハ、あとのエルフの看病をライアに任せて、エントランスで一息ついた。

「そういやぁ、ライアに看病なんてできんのかな。いや、もしかすると案外家事とかできたりして・・・」

 ハプスブルクの家というとなんども言っているように貴族の中の貴族といっても過言ではないほどの大きな家である。そんな家で生まれ育ったライアに家事やらそのたもろもろ家のことができるとはヘンリには到底思えなかったが、前にライアが「ハプスブルクはあくまで質素に」みたいなことを言っていたのを思い出した。

「そういえば、この屋敷に入ってからメイドさんや執事さんを見てないな。」

 さっきからやけに静かだなと思っていたヘンリはここでようやく納得がいった。納得がいったところでヘンリはエントランスをよく見まわしてみることにした。

 広いエントランスは天井も高く、大きなシャンゼリアがそこに吊るされてあった。壁は白の漆喰で塗られていて、壁の足元のほうは赤く塗られていてうまく塗り分けられていた。また壁際のテーブルの上には高そうな食器や陶器が飾られていて、鎧が壁に立てかけられていたりした。

 が、やっぱりメイドや執事はおらず、広いエントランスはものすごく静かで、そしてなんとなくさびしく感じられた。

「なんとなく、ここ寂しいんだよな。たぶん誰もいないからだとは思うんだけど・・・あとでライアに執事もメイドもいるのかいないのか聞いてみるか。」

 と、自分の感想と疑問点などを一人でぶつぶつと呟いていたヘンリだが、さっきからずっと立ちっぱなしでおまけに椅子やソファーもないのでそろそろ足が疲れてきた。

「にしても遅いなライアのやつ・・・せめて椅子のある部屋へ行かせてもらうべきだったか・・・」

 と、また一人でブツブツ独り言をしだした瞬間、エントランス2階の大きな扉がギギギと音を立てて開いた。

 その音に気がついたヘンリがそっちを向くと私服なのだろうか、きれいなドレスを身にまとったライアが現れた。

「・・・」

 正直に言おう、ヘンリはライアに見とれて言葉を失った。

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  ヘンリは、高熱を出している名前も知らないエルフを背負いながらライアのいる場所へと急ぐ。その間中、ヘンリはライアを背負った時にはなかった不思議な感覚ーー背中とそのエルフとの間には何もないはずなのにそこに大きなマシュマロが2つあるような感覚ーーを感じていた。
 しかし、この時はそんなことよりも、早くライアと合流してハプスブルクの屋敷に行き、このエルフを治療してやることの方が重要だったので気にもかけなかったのだがこの感触の正体についてはすぐにわかることになる。
 さて、エルフを背負ったヘンリは、その後すぐにライアに合流した。合流してライアは開口一番「遅い!いつまで待たせる気だったの!?」
と、ヘンリに怒鳴りつけたが、ヘンリが手短に事態を説明すると、ヘンリの背中に回り込んでエルフの様子を診て、
「あんたの言うことはホントみたいね、分かったわ、屋敷に急ぎましょう!」
と言うとハプスブルクの屋敷へと歩き出した。が、すぐにライアは足首を押さえるとうずくまってしまった。

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  相変わらずの強風の中、ヘンリはエルフの方へと進んでいく。その距離はおよそ100メートルなのだが、この強風のせいで土が舞い上がり視界がかなり悪い。
 ヘンリは土が目に入らないように腕で目を覆うようにし、目を細めて、エルフをみうしわないようにしながら近づいていく。
 と、次の瞬間なんとか気力で耐えていたエルフはとうとう力尽きたのか風が止むと同時に崩れるようにして地面に倒れた。
 「おい、大丈夫か!」
 ヘンリがエルフのところまでたどり着くとそのエルフは顔を真赤にし、汗を流しながら大きく胸を上下させて苦しそうに息をしていた。
 (こいつ熱があるのか?)
 ヘンリはエルフの額に自分の額を押し付けてみるとかなりの熱を出していた。
 (これは、やばいかも・・・)
 このままでは大事になると判断したヘンリはとりあえずエルフを背負うとライアの元へと急ぎ足で進みだした。
 「しっかりしろ!もう少ししたら治療ができるところにいけるからな!」
 ヘンリが呼びかけるとエルフは薄目を開けて、
 「あなたは・・・だれ?」
 と、弱々しく問いかけてきた。
 それを効いたヘンリは意識があることにほっとして。
 「なんとか、意識があるみたいだな、もう少しがんばれ!」
 そういうと、エルフは小さく頷いて、また力なくヘンリの背中にもたれかかった。
 

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言ったっけ?言ってなかったっけ?
何はともあれ、季節は初夏、心地よい風が吹き抜ける。それは、髪が大きくなびき、人は飛ばされそうになる。
つまり、突風だった…
「一体…なん…で、こんな、風が、吹いてんだ…?」
「そんなの…知るわけ…ない…じゃない」
その突風の中、ヘンリはよりにもよって風上の方へライアを背負ってハプスブルクの屋敷に向かって歩いていた。
「なんだって…こんな…突風が…急に」
「そんなこと…いい…から…とっとと…歩き、なさい」
いったい、なんでこうなってんだ?ヘンリは少し前のことを思い出す。

ヘンリが、足を挫いて歩けなくなったライアを背負って再びハプスブルクの屋敷へと歩きだしたのが少し前、
その後、1,2キロ進んだところで、何故か急に風が吹き出してきた。
もちろん、その後ヘンリは自分の体はもちろんだが、ライアも飛ばされないように最深の注意を払いつつ歩いていたが、この風邪の勢いはとどまるところを知らず、むしろさっきよりひどくなってるようだった。
「なんだ、この風、えらく、つよいな…」
「そう、ね、…ね、え、あんた、これ、なんかへんじゃない?」
ここで、なにか不審に思ったライアがヘンリに言う。
「変って?風が、強い、だけ、だ、ろ?」
「そうじゃなくって、明らかにさっきより風強くなってるし、こっちが方向転換する度に風の向きが変わるし、これ、ひょっとして、風の使い手の仕業じゃないかしら?」
「え?風の、使いて?ということは、これって、魔術?」
「でしょう、ね」
そこまで言ったとき、ライアは前方から近づいてくる人影に気がついた。
と、同時に風が急に弱まってきた。
「あなたは、誰?」
ライアが、近づいてくる人影に話しかける。
その人影は、どうも女性のようだった。髪は綺麗なブロンドで腰まで届くロングヘアー、耳は高く尖っているので、どうやらエルフのようだった。
「エルフ?」
ヘンリは、話にしか聞いていなかったエルフを初めて見たのだった。
そして、そのあまりの美しさに言葉をなくしてしまった。
そのエルフは、ゆっくりとこちらに歩いてくる。その足取りは、頼りなく、フラフラしながらこちらへ歩いてくる。
「フラフラしながら…?」
そのとき、ヘンリは、そのエルフの様子がおかしいのに気がついた。
「おい、ライア、あのエルフ体調が良くないんじゃないのか?」
「え?そういえば、そうね足取りもおぼつかないし。」
「ちょっと、ライア悪いがここでちょっと待っててくれ。」
そういうと、ヘンリは、ゆっくり腰をおろすとライアを地面におろした。
「ちょっと、って、あんた、どうするつもりよ!?」
「彼女をつれてくるだけだから!」
そういうと、ヘンリはエルフの方へとかけ出していくのだった。

To be countinue... 

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  ハプスブルクの屋敷は、プファルツ王国の首都プリストンから歩いて約5キロの郊外にある。
 そこまで丘を2つほど超えていくのだが、やはりお嬢様であるライアにはこれが辛いようだった。何度もヘンリを呼び止めては休憩し、そうしているうちにプリストンを出る時にはまだ昼過ぎだったのに、ハプスブルクの屋敷がみえてきた頃にはかなり日が傾いていた。
 「おい!ライア、やっと屋敷がみえてきたぞもう少しだ、頑張って歩け。」
 と、そこで、ヘンリがライアに声をかける。すると、ライアも屋敷を見つけ、つかれた様子で
 「わかってるわよ、全く、あと少し歩けばいいんでしょ!」
 と言った。
 そして、あともう少しだと歩き出そうとした瞬間、ライアが足を絡ませて転んでしまった。
 「キャッ!あいたたた」
 「おい、大丈夫かよ?」
 「大丈夫よ、ただ足を絡ませて転んだだけだから。」
 「ん、なら立てるな。ほらつかまれよ。」
 ヘンリが手を差し出した手にライアがつかまり、立とうとすると、
 「いたっ!」と、ライアの足首に痛みが走っり、その場にへたりこんでしまった。
 「おい大丈夫かよ?」
 「足首が痛くて…」
 と、ライアが足首を抑えながら行った。ヘンリは、その手を少しどけて、ソックスを脱がせて、様子を伺うと、なるほど、捻挫をおこして腫れ上がっていた。
 「ありゃ、捻挫してやがる、仕方ねぇ、ライアおぶってやるから俺の背中につかまれ。」
 「いいわよ、別にこのくらい…イタッ!」
 「ほら見ろ、無理に立とうとするから。ほら、早く。」
 と、ヘンリがライアに背中を向けて促すと、ライアはしぶしぶ、
 「仕方ないわね…」
 といながらライアにおぶさった。
 「よいしょっと」
 と、ヘンリが立ち上がって、その時ヘンリがあることに気がついた。
 そして、
 「ライア、お前胸ないんだn…ゴハッ!」
 「うるさいわね!!!さっさと行きなさい!コモナーの癖に!」
 というように、地雷を踏んだヘンリはガスガス蹴られながら、あと少し、ハプスブルクの屋敷まで歩き出した。
 
 <To be countinue>

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1993/05/28
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自己紹介:
ども、某工業高校に通う学生です。
このブログでは小説とかいろいろなことをグダグダと書いて行こうと思います。よければコメントとかして下さい。
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