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さっきエルフをライアの屋敷に運び込んだ編リハ、あとのエルフの看病をライアに任せて、エントランスで一息ついた。
「そういやぁ、ライアに看病なんてできんのかな。いや、もしかすると案外家事とかできたりして・・・」
ハプスブルクの家というとなんども言っているように貴族の中の貴族といっても過言ではないほどの大きな家である。そんな家で生まれ育ったライアに家事やらそのたもろもろ家のことができるとはヘンリには到底思えなかったが、前にライアが「ハプスブルクはあくまで質素に」みたいなことを言っていたのを思い出した。
「そういえば、この屋敷に入ってからメイドさんや執事さんを見てないな。」
さっきからやけに静かだなと思っていたヘンリはここでようやく納得がいった。納得がいったところでヘンリはエントランスをよく見まわしてみることにした。
広いエントランスは天井も高く、大きなシャンゼリアがそこに吊るされてあった。壁は白の漆喰で塗られていて、壁の足元のほうは赤く塗られていてうまく塗り分けられていた。また壁際のテーブルの上には高そうな食器や陶器が飾られていて、鎧が壁に立てかけられていたりした。
が、やっぱりメイドや執事はおらず、広いエントランスはものすごく静かで、そしてなんとなくさびしく感じられた。
「なんとなく、ここ寂しいんだよな。たぶん誰もいないからだとは思うんだけど・・・あとでライアに執事もメイドもいるのかいないのか聞いてみるか。」
と、自分の感想と疑問点などを一人でぶつぶつと呟いていたヘンリだが、さっきからずっと立ちっぱなしでおまけに椅子やソファーもないのでそろそろ足が疲れてきた。
「にしても遅いなライアのやつ・・・せめて椅子のある部屋へ行かせてもらうべきだったか・・・」
と、また一人でブツブツ独り言をしだした瞬間、エントランス2階の大きな扉がギギギと音を立てて開いた。
その音に気がついたヘンリがそっちを向くと私服なのだろうか、きれいなドレスを身にまとったライアが現れた。
「・・・」
正直に言おう、ヘンリはライアに見とれて言葉を失った。
しかし、この時はそんなことよりも、
さて、エルフを背負ったヘンリは、
と、ヘンリに怒鳴りつけたが、ヘンリが手短に事態を説明すると、
「あんたの言うことはホントみたいね、分かったわ、
と言うとハプスブルクの屋敷へと歩き出した。が、
何はともあれ、季節は初夏、心地よい風が吹き抜ける。それは、髪が大きくなびき、人は飛ばされそうになる。
つまり、突風だった…
「一体…なん…で、こんな、風が、吹いてんだ…?」
「そんなの…知るわけ…ない…じゃない」
その突風の中、ヘンリはよりにもよって風上の方へライアを背負ってハプスブルクの屋敷に向かって歩いていた。
「なんだって…こんな…突風が…急に」
「そんなこと…いい…から…とっとと…歩き、なさい」
いったい、なんでこうなってんだ?ヘンリは少し前のことを思い出す。
ヘンリが、足を挫いて歩けなくなったライアを背負って再びハプスブルクの屋敷へと歩きだしたのが少し前、
その後、1,2キロ進んだところで、何故か急に風が吹き出してきた。
もちろん、その後ヘンリは自分の体はもちろんだが、ライアも飛ばされないように最深の注意を払いつつ歩いていたが、この風邪の勢いはとどまるところを知らず、むしろさっきよりひどくなってるようだった。
「なんだ、この風、えらく、つよいな…」
「そう、ね、…ね、え、あんた、これ、なんかへんじゃない?」
ここで、なにか不審に思ったライアがヘンリに言う。
「変って?風が、強い、だけ、だ、ろ?」
「そうじゃなくって、明らかにさっきより風強くなってるし、こっちが方向転換する度に風の向きが変わるし、これ、ひょっとして、風の使い手の仕業じゃないかしら?」
「え?風の、使いて?ということは、これって、魔術?」
「でしょう、ね」
そこまで言ったとき、ライアは前方から近づいてくる人影に気がついた。
と、同時に風が急に弱まってきた。
「あなたは、誰?」
ライアが、近づいてくる人影に話しかける。
その人影は、どうも女性のようだった。髪は綺麗なブロンドで腰まで届くロングヘアー、耳は高く尖っているので、どうやらエルフのようだった。
「エルフ?」
ヘンリは、話にしか聞いていなかったエルフを初めて見たのだった。
そして、そのあまりの美しさに言葉をなくしてしまった。
そのエルフは、ゆっくりとこちらに歩いてくる。その足取りは、頼りなく、フラフラしながらこちらへ歩いてくる。
「フラフラしながら…?」
そのとき、ヘンリは、そのエルフの様子がおかしいのに気がついた。
「おい、ライア、あのエルフ体調が良くないんじゃないのか?」
「え?そういえば、そうね足取りもおぼつかないし。」
「ちょっと、ライア悪いがここでちょっと待っててくれ。」
そういうと、ヘンリは、ゆっくり腰をおろすとライアを地面におろした。
「ちょっと、って、あんた、どうするつもりよ!?」
「彼女をつれてくるだけだから!」
そういうと、ヘンリはエルフの方へとかけ出していくのだった。
To be countinue...
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